Wi-Fiの「カギ」は最新ですか?安全な暗号化方式で家庭のネットを守る方法
家庭のWi-Fi、目に見えない「カギ」が大切です
ご家庭でインターネットをお使いになる際、Wi-Fi(ワイファイ)はとても便利ですね。パソコンやスマートフォン、タブレット、そしてスマート家電まで、様々な機器が無線でインターネットにつながります。しかし、この便利なWi-Fiには、目に見えない「カギ」の仕組みが隠されていることをご存じでしょうか。
この「カギ」は、私たちがインターネット上でやり取りする大切な情報、例えばウェブサイトの閲覧履歴やオンラインショッピングでの個人情報などを、他の人から覗き見されないように守る役割をしています。もし、このカギが古いままだったり、強度の低いものだったりすると、大切な情報が外部に漏れてしまう危険性があるのです。
この記事では、ご家庭のWi-Fiネットワークを安全に保つために、この目に見えない「カギ」(暗号化方式と呼びます)の重要性と、ご自宅のWi-Fiが最新の安全なカギを使っているか確認し、必要であれば設定を変更する方法を分かりやすくご紹介します。
「暗号化」とは何でしょうか?
「暗号化」という言葉を聞くと、少し難しく感じるかもしれませんね。簡単に言うと、暗号化とは「秘密の言葉」や「特殊な変換」を使って、情報の内容を他の人が読めないようにすることです。
例えば、大切な手紙を遠くの誰かに送る際、そのまま送ると途中で誰かに読まれてしまうかもしれません。そこで、手紙の内容を特殊な暗号文に変換し、その暗号を解くための「カギ」を持つ人だけが読めるようにする、これが暗号化の仕組みと似ています。
Wi-Fiの場合も同じです。インターネット上で送受信されるデータは、この暗号化によって保護され、決められた「カギ」を知っているWi-Fiルーターと接続機器の間だけで、安全にやり取りが行われるようになっています。
なぜWi-Fiの暗号化が重要なのでしょうか?
Wi-Fiの電波は、目には見えませんが、家の中だけでなく家の外にも届いています。もし暗号化が適切に行われていないと、悪意のある第三者がご自宅のWi-Fiの電波を傍受し、そこを流れる情報(ウェブサイトの閲覧履歴、オンラインサービスのIDやパスワード、送受信したメールの内容など)を盗み見できてしまう可能性があります。
ご家族の皆さんが安全にインターネットを利用するためには、ご自宅のWi-Fiの「カギ」が十分に頑丈であることがとても大切なのです。
ご自宅のWi-Fiの「カギ」の種類を確認しましょう
Wi-Fiの「カギ」にはいくつか種類があり、安全性が高いものと、古いタイプで安全性が低いものがあります。現在は、WPA2-PSK(AES)またはWPA3という種類が、安全な「カギ」として推奨されています。
古いルーターや、初期設定が変更されていないままの場合、WEPやWPA-PSK(TKIP)といった、現在では安全性が低いとされる種類の「カギ」が使われていることがあります。これらの古いカギは、簡単に破られてしまう可能性があるため、安全な新しいカギに変更することが強く推奨されます。
まずは、ご自宅のWi-Fiルーターがどの種類の「カギ」を使っているかを確認してみましょう。
1. Wi-Fiルーターの設定画面を開きます
ご自宅のWi-Fiルーターの設定を変更するには、まず「設定画面」にアクセスする必要があります。
- パソコンやスマートフォンをWi-Fiルーターに接続します。 (有線LANで接続できる場合は、有線LANでの接続をお勧めします。)
- ウェブブラウザ(Internet Explorer、Microsoft Edge、Google Chrome、Safariなど)を開きます。
- アドレスバーにWi-Fiルーターの「IPアドレス」を入力します。
- IPアドレスは、ルーター本体のシールや、取扱説明書に記載されていることが多いです。一般的には「192.168.1.1」や「192.168.0.1」などがよく使われます。
- もし見つからない場合は、お使いのルーターのメーカー名と「設定画面 IPアドレス」でインターネット検索してみてください。
- ログイン情報を入力します。
- 設定画面を開くと、ユーザー名とパスワードを求められる場合があります。これもルーター本体のシールや取扱説明書に記載されています。多くの場合、「admin」や「root」といったユーザー名と、初期パスワードが設定されています。
- もし、初期パスワードのままお使いの場合は、以前の記事でご紹介した方法で、必ずご自身で設定したパスワードに変更しておきましょう。
2. 設定画面で「暗号化方式」を確認します
設定画面にログインできたら、次は「暗号化方式」を探します。
- 設定画面内の「無線LAN設定」「Wi-Fi設定」「ワイヤレス設定」「セキュリティ設定」といった項目を探してクリックします。 表示はルーターのメーカーや機種によって異なります。
- 「暗号化方式」「認証方式」「セキュリティモード」などの項目を見つけます。
- 現在の設定が何になっているかを確認します。
- 「WPA2-PSK(AES)」または「WPA3」と表示されていれば、現在のところ安全なカギが使われていますので、ご安心ください。
- 「WPA/WPA2-PSK(TKIP/AES)」と表示されている場合、安全なAESも利用できますが、TKIPが優先される設定になっている可能性もあります。その場合は、できれば「WPA2-PSK(AES)」のみを選択できるよう設定を変更することをお勧めします。
- 「WEP」や「WPA-PSK(TKIP)」のみが表示されている場合は、すぐに変更が必要です。
安全な暗号化方式に変更しましょう
もしご自宅のWi-Fiが古い暗号化方式(WEP、WPA-PSK(TKIP))を使っていた場合は、以下の手順で新しい安全な暗号化方式に変更してください。
- 確認した「無線LAN設定」などの画面で、「暗号化方式」の選択肢を探します。
- 選択肢の中から、「WPA2-PSK(AES)」または「WPA3」を選択します。
- もし「WPA3」が選択できるようであれば、最新で最も強固なため、「WPA3」を選ぶことをお勧めします。ただし、古いパソコンやスマートフォンの中にはWPA3に対応していないものもあります。もしWPA3に設定して接続できなくなった場合は、「WPA2-PSK(AES)」に設定し直してください。
- 「WPA2-PSK」と「AES」はセットで使うことが推奨されています。「WPA2-PSK(AES)」という表示になっているか確認しましょう。
- 設定を「保存」または「適用」します。
- Wi-Fiルーターを再起動します。 (電源コードを一度抜いて、数秒待ってから再び差し込むと再起動できます。)
【重要な注意点】 暗号化方式を変更すると、それまでWi-Fiに接続していたすべての機器(スマートフォン、パソコン、タブレット、スマート家電など)が一度Wi-Fiから切断されます。 再接続するには、新しい暗号化方式に対応した上で、再度Wi-Fiのパスワード(ネットワークセキュリティキー)を入力し直す必要があります。ご家族の皆さんの機器も、忘れずに再接続するようにお伝えください。
最新のルーターへの買い替えも検討を
もし、お使いのWi-Fiルーターの設定画面に「WPA2-PSK(AES)」や「WPA3」という選択肢が見当たらない場合は、お使いのルーターが古い可能性があります。その場合は、最新の暗号化方式に対応した新しいWi-Fiルーターへの買い替えも検討することをお勧めします。
新しいルーターにすることで、セキュリティ面だけでなく、通信速度が速くなったり、より広い範囲で電波が届くようになるなど、インターネット環境が全体的に快適になるメリットもあります。
まとめ:安全なWi-Fiで安心のネットライフを
ご家庭のWi-Fiの「カギ」、つまり暗号化方式を最新で安全なものに設定することは、ご家族の皆さんの大切な情報を守るための、とても重要なセキュリティ対策の一つです。
この記事でご紹介した手順で、ご自宅のWi-Fiルーターの暗号化方式が安全な設定になっているかぜひ一度ご確認ください。少し手間だと感じるかもしれませんが、一度設定してしまえば、あとは安心してインターネットを楽しむことができます。
私たち「家庭のネット安全対策」は、皆さまがご家庭で安心してインターネットを利用できるよう、これからも分かりやすい情報をお届けしてまいります。